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大高清美Band : Metro Music Oasis vol.4 (地下鉄銀座駅〝銀座のオアシス〟, 05.09.29)

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metroかつてJR大阪駅の前で、地元のあんちゃんたちとおぼしきバンドが、電源車を傍らに停めて、ストリートライブをぶちかましていたのに出くわしたことがある。もう夜もいい時間で、歩いているわたしもちょいとほろ酔い気分だったのだが、彼らが演奏しているノリのいい〝クロスロード〟を聴いて、ほぅ、ロックのストリートライブもいいものだな、と思った記憶がある。
しかし、同じストリートライブでも、これはまた雰囲気がまったく違う。東京メトロ銀座駅の地下コンコースの片隅が会場で、天井も低ければ、すぐ横をサラリーマンやOLも行き交っている。Metro Music Oasisという東京メトロ主催のイベントで、4回目にあたる今回は、2夜を2アーティスト(大高清美と新澤健一郎)がそれぞれ2セットづつのライブを行った。
わたしが足を運んだのは、オルガン・プレイヤーの大高清美が率いるグループの方で、告知用のポスターに載ってた紹介文にちょっと興味を惹かれたからだ。すなわち、〝彼女のオルガンプレイは、既成概念を超えている。ジャズもロックもプログレもファンクも飲みこみ、ある時は叙情的に、ある時は変拍子を多用したメカニカルなプレイ、その二面性が同時にサウンドとなって押し寄せる。〟(ポスターから引用)ま、早い話が、〝プログレ〟の二文字につられたのである。
大高清美の名は、不勉強なことに初耳なのだが、プログレのフィールドでもあまり話題になったことがないのではないか。しかし、この日の演奏を聴いてみて、乾いていながら、どこか湿った感じのオルガンの音色は、なるほどルーツとしてのプログレを十分に感じさせるプレイヤーだと思った。ジャズ、フュージョンのキーボードというよりは、オルガンへの拘りが感じられ、どことなくブリティッシュ・ロックにルーツがあるような気がする。
ソロのパートになると、結構重量感のあるプレイを展開し、テクニック的にも十分な手ごたえがある。彼女の書く曲は、フュージョン、クロスオーバーにありがちな曲展開が目立つものの、ここぞという場面には、印象的なフレーズがさりげなく飛び出してくる。すでに5枚にも及ぶリーダーアルバムをリリースしているという自信にしっかりと裏打ちされた演奏ぶりにも好感がもてた。
この日のメンツは、大高清美(org)、矢掘孝一(g)、岡田治郎(b)、菅沼孝三(d)のカルテットで、バックのメンバーたちが所属するFragile、Prismなどの音ともシンクロする演奏だったが、予定調和のフュージョン・サウンドをぶち壊すかのように、菅沼がここぞという場面にくると、大胆不敵なソロパートを繰り広げてくれたのが愉快だった。菅沼のドラムというと、プログレ・ファンとしては、Blackpageでの破天荒なドラミングが強烈な印象に残っているが、この日の演奏も、ややもするとリーダーの大高をも食ってしまうほどの存在感を誇っていた。
大人の町銀座で、夕方の雑踏を横目に聴くロック(それもプログレ)、なかなかいいものでありました。


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